記録映画「命の作法―沢内「生命行政」を継ぐ者たち―」をみた
1960年に老人医療費を日本で初めて無料化し、2年後には乳児死亡率をゼロにした村があった。岩手県沢内村(05年、湯田町と合併して西和賀町)である。映画(小池征人監督)は生まれた時から死ぬまでの福祉実践で全国にその名を馳せる沢内村の行政・村民の活動記録である。私自身、居住福祉学会主催で2度ほど訪れたことがあっただけに、朝日新聞に掲載された紹介記事を読んで、即鑑賞した。
1957年深沢晟英雄は18代村長に選ばれ、「豪雪、貧困、多病・多死」を諸悪の根源として三悪追放を村の基本方針とした。後に、村長を継ぐ太田祖電らを右腕としながら、村民の命を守るために村民ぐるみで努力した。それが、連綿と今に受け継がれているのである。いくら、傑出した村長レベルのリーダーが続出しても、村民の真の理解と惜しみない協力なしでは半世紀も続くものではない。
映画では、サブタイトルに「生命行政」とあるが、「行政」というよりも、むしろ村民や福祉関係施設の経営者たちが主体となって共に助け合いながら、村民の生活や暮らしを守り発展させてきた「協働」であるように思えた。また、沢内村の四季の美しさ・厳しさとそれに絡んだ村民の行事や広範な福祉活動が折り重なりながら、多様な切り口で紹介されていく。
100歳になる男性が、自分の年老いた障害を持つ娘の将来を案じ授産施設の長に託するシーン、特養副園長の太田宣承(祖電の孫)が施設居住老婆の耳元での丁寧な話方、増田洋の関東からきた児童養護施設の子ども達との接し方と感激、だんだんと村の生活に溶け込みここで生きることを決意する若い母親など、表情豊かな生き生きした村民たちが登場する。沢内村の「命の作法」の原点をみる思いがした。
とこで、急激に厳しくなっていく日本の福祉行政の現実を考えると、これからの沢内村がどうなるか、気がかりである。しかしながら、映画のラストで太田宣承が自分の言葉で淡々と話すシーンに、これまでの村の歴史を受け継ぎながら、将来も引き継いでいく強い意志を感じ安堵した。(敬称略)(081230)
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